あなたは大丈夫!?男性ホルモン低下のサインとは

「男性ホルモンの低下に注意しましょう」と言われても、男性の場合、女性のように生理が止まるといったはっきりした変化が見られるわけではありません。男性はいつたい、いつ、どこで、ホルモンの低下に気づけばよいのでしょうか。

その、最初のサインとなるのが、「朝立ち」です。

健康な男性は、夜寝ている間、レム睡眠時に何度か勃起します。これは、性欲や夢とは関係なく起きる、自然な現象。朝立ちは、その状態が朝まで残ったものであり、一般的に、30代のうちはほぼ毎朝勃起します。朝、気づいたときには立っていなかったとしても、夜には勃起していることがほとんどです。

しかし、40歳頃から、「あれ?」という日が出てきます。これが、男性ホルモン低下の最初のサイン。その後朝立ちの回数が減っていったら、要注意です。

ちなみに、みなさんは勃起が起きるときの条件をご存じですか?

精神的にリラックスしていて副交感神経が優位にあること、テストステロンが十分にあること、脳内や血管から一酸化窒素が出てペニスの血管が十分に広がること、そして、十分な睡眠がとれていることなどが挙げられます。

体内の男性ホルモン量は、一日のうちでも変動があり、通常の日常生活を送っている人の場合は、朝が一番増えます。だから、勃起の状態が保たれるわけです。

また、膀胱におしっこがたまっているほうが、勃起しやすくなります。朝起きておしっこをすると勃起が収まるのは、このためです。男性ホルモン低下の重要なサインとなる朝立ちですが、それが減ってきても、単に性欲が落ちたからだと、軽く考える人が案外多いようです。「年をとってきたから、まあ、こんなものかな」と考え、やり過ごしてしまうのです。

40代なら、毎朝でなくとも、週に3回くらいは朝立ちが見られれば、心配いりません。でも、もし、週に1回も見られないようだと、少々問題です。一度、泌尿器科など、男性のアンチエィジング専門医に相談してみたほうがよいでしょう。男性ホルモンの低下はもちろん、動脈硬化など、ほかの問題が隠れている可能性もあるからです。

なお、実際のところ、「最近、何かおかしい」と気づくのは、本人よりも、むしろ家族であることが多いです。

一般に、ホルモンが低下していく速度は非常にゆっくりなため、本人はなかなか気づきません。しかし、ホルモンが低下すると、やる気も体力もなくなりますから、夫婦の性生活にも影響が及びます。以前は活動的だったお父さんが、すっかり出歩かなくなったり、好きだったゴルフもやらなくなって、土日は家でゴロゴロしてばかりいるように・・・。

そんな様子を見かねた家族が、「一度、病院に行ってみたら」と、本人に告げるのです。実は、私のクリニックに相談に来られる患者さんの中には、「妻に言われて来ました」という人がかなりの数にのぼります。

少しでも思い当たるふしがあったら、奥さんやご家族の意見も聞いてみてください。そして、早めに生活を見直して、ホルモン維持に努めましょう。

若年化するホルモン低下…早い人は40代からはじまっている

男性が若々しくあるために、男性ホルモンの量を高く保つにこしたことはないのですが、人間である限り、どうしてもいつかはその量が下がっていきます。

その時期が、いつ、どんなふうに訪れるのか。この点が問題になってくるわけです。

もともとテストステロンの量は、10歳くらいから急上昇し、これによって男性は男らしいからだつきになって、睾丸も大きくなります。いわゆる第二次性徴期です。その後、20歳くらいでピークを迎えると、30代後半までは高い値を維持します。この時期が、もつとも生殖機能が活性化されています。そして、40歳前後になると、男性ホルモンは下がりはじめます。しかし、その落ち方は非常に緩やか。だから、その時点ではまだ、男性が急に「老い」を感じることはあまりありません。中には、かなり高齢になるまでテストステロン値が落ちない人もいて、そういう人は、いくつになっても元気で、実際、60歳を過ぎても子どもができたりします。

とはいえ、そこまでの人はやはり例外で、一般に50歳を過ぎた頃になると、多くの人がテストステロン値低下の影響を実感します。体調の不具合を感じたり、気分の変化を感じはじめ、男としての自分に自信がなくなってくるのです。

このとき、私たちの体内では、ホルモン上、驚くべき変化が起きています。

私たちはもともと男性も女性も、それぞれ男性ホルモンと女性ホルモンを持っていますが、男性は、第二次性徴期に男性ホルモンが上昇することで、男らしくなります。

しかし、中高年になって男性ホルモンの低下が進むと、からだの中の男性ホルモンと女性ホルモンのパランスに狂いが生じます。その結果、男性なのに女性ホルモンの影響を強く受けるようになってしまい、さまざまな変化が表れるのです。

たとえば筋肉が落ち、脂肪がつきやすくなり、どこか丸みを帯びた体型になってきます。睾丸の萎縮がはじまる人もいるでしょう。

ちなみに、こうしたホルモンパランスの変化は女性のからだの中でも起きています。

ある程度の年齢を過ぎると、どこか男っぽい中年女性や、どこか女っぽい中年男性がちらほらと見られるようになるのは、このためなのです。

さらに、ホルモンパランスが崩れ、女性ホルモンの影響が強くなると、当然、肉体だけでなく、精神的にも不安定になります。不安感や焦り、イライラなどが募り、精神科を受診する人も出てくるでしょう。

と、ここまで読んで、「自分はまだ40歳そこそこだから、まだまだ大丈夫だ」と思った人もいるかもしれません。しかし、残念ながら、油断は禁物です。なぜなら、近年、ホルモン低下の若年化が、医学界で大きな問題になっているからです。

明らかな理由ははっきりしていませんが、運動不足や、食べ過ぎ、飲み過ぎ、睡眠不足などの生活習慣の乱れ、ホルモンの分泌に影響を及ぼしてしまう内分泌かく乱物質を吸い込んだり口にしたりしていることが原因ではないかと、考えられています。

ある日急にからだの衰えを感じ不安といらたちを感じるとき━。それがやってくるのが1年後なのか、10年後なのかは、残念ながら誰にもわかりません。しかし、早め早めに食生活などの生活習慣の改善に取り組むにこしたことはないのです。

「デヒドロエピアンドロステロン」が “マザーホルモン”と呼ばれるワケ

「男性ホルモンの多くを占めているのがテストステロンなら、それさえ気をつけていればいいんじゃないの?」と、思われる方もいるでしょう。確かに、男性のアンチェイジングについて書かれた本の多くは、テストステロンのことがほとんどで、DHEAについて語られることは少ない傾向にあります。

しかし、私は、男性ホルモンを高めて若さを保つためには、テストステロンだけではなく、必ずDHEAのことも併せて考えるべきだと思っています。その、大きな理由のひとつは、テストステロンは、そもそもDHEAから作られるからです。

男性ホルモンには、テストステロン、DHEAのほか、アンドロステネジオンや、ジヒドロテストステロンなどがありますが、ここで、男注ホルモンができる過程をざつと解説しておきましょう。

私たちのからだの中にある約80ものホルモンのうち、性ホルモンや副腎で作られるホルモンのほとんどはコレステロールから作られます。まず、コレステロールが副腎でビタミンCやビタミンE、銅、マグネシウムの作用を受けて、プレグネノロンという物質になります。そこに、ナイアシン(ビタミンB3)、ピリドキシン、鉄、葉酸が作用することで作られるのが、DHEAです。これに、ビタミンB3とビタミンAが作用してアンドロステネジオンができ、さらに銅、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが作用することで、テストステロンが作られます。

つまり、DHEAこそが、すべての男性ホルモンのおおもとといえるのです。

実はDHEAは、男性ホルモンだけでなく、女性ホルモンや、血圧を調節するホルモンなどさまざまなホルモンのおおもとでもあるため、”マザーホルモン”と呼ばれることがあります。現在、アンチエィジングというと、テストステロンやエストロゲンといった末梢のホルモンのことばかり叫ばれていますが、その源流であるDHEAについても、もっとしっかり対応していくことが大切なのです。

テストステロンは、記憶力、判断力、積極性、競争意識を司る

「テストステロンが多い」というと、性欲が強くて攻撃的なイメージを持つ人が多く、テストステロンがどんな働きをしているのか、正確に知っている人は案外少ないようです。そのもつとも大きな働きは、骨や筋肉の発達を促し、がっしりした、たくましいからだを作ること。脂肪がつくのを抑える働きも持っています。

また、精子を作る力と性欲を高める働きもします。ですから「テストステロンが多い人は性欲が強い」というのは、ある程度当たっています。ただし、テストステロンが多いと社会性が上がる傾向にあるので、「攻撃的」というのは当てはまりません。

ほかにも、テストステロンは、皮膚の合成や、動脈硬化を防ぐ作用、造血作用、腎臓の働きを功ける作用など、体内で実にさまざまな力を発揮しています。

驚くべきは、ここからです。テストステロンは、脳内で精神や老化を司るミトコンドリアを健やかに保つなど、脳神経とも深くかかわっています。このため、テストステロンが減ると、記憶力や判断力が衰えてくる上に眠りの質も悪くなり、うつ的な状態になってしまうのです。結果的に積極性や競争意識も落ちて、元気がなくなります。

40歳を過ぎて、「なんだか物覚えが悪くなった」「思考がなんとなくぼんやりする」「どうもやる気が起きない」「勝負に負けても気にならなくなってきた」「何をやっても面白くない」といった傾向が出てくるのは、ただ単に「年をとったから」ではなく、加齢やストレスなどにより「テストステロンの分泌量が落ちてきた」ことが根本的な原因であることが少なくないのです。

反対に、テストステロンの分泌を高く保ち続けている人は、いくつになっても記憶力も判断力も衰えません。何よりやる気に満ちているため、仕事でも第一線で活躍を続けます。積極性もあるので、新しい仕事に果敢に挑戦したり、時間を惜しまずに人に会いに行ったり、旅に出かけたりと、行動力も落ちません。テストステロンが私たちのからだと心に及ぼしている影響は、想像以上に大きいのです。

できる男は、「テストステロン」がバンバン作られている!

「できる男」というと、あなたはどんな男性を想像されますか?

仕事に積極的で、集中力と判断力に優れ、しっかり結果を出す人。気力と体力が充実していて、根気強い。負けず嫌いで、打たれ強い。仕事だけでなく、遊びも好きで、仲間も多い。利己的ではなく、部下や同僚の面倒も見る優しさを持っている。

みなさんは、こうした「できる男」の特徴を、その人の才能や努力の賜物だと思っていませんか。確かにそれもゼロではありません。しかし実は、今挙げた特徴のすべてに、男性ホルモンが大きくかかわっているのです。

日本史上、まれにみる「できる男」に、豊臣秀吉がいます。先に挙げた「できる男」の特徴がほぼすベて当てはまっていたと思われる秀吉は、男性ホルモン値がかなり高かったと考えられます。織田信長、西郷隆盛、坂本龍馬など、歴史に名を残した英雄たちは、おそらくみんな同様です。現代でいえば、自ら会社を興して成功している社長や、自分の能力をいかんなく発揮しているプロスポーツ選手・芸術家、強いリーダーシップを持った政治家なども、やはり男性ホルモンが高いはずです。

また、テストステロンには肌の状態を良く保つ力や、筋肉をつきやすくする力もありますから、男性ホルモン値が高いできる男は、見た目もそれなりにカッコいい傾向にあります。テストステロン値が高いと社交性も上がるので、自分なりにおしゃれに気をつかうため、いい意味で目立ちます。「華がある」ということです。

しかも、テストステロンの分泌量は、勝負に勝ったり、ほめられると増える、ということがわかっています。ですから、「できる男」はもともとテストステロンが高い上に、成功するたびにテストステロンがどんどん出て、さらに男を上げる、そしてまた結果を出すという、非常に良い循環の中で生きているのです。

つまり、そうした「できる男」の習慣を取り入れることで、誰もが「できる男」に近づける、もしくは、年齢を重ねても「できる男」でい続けられるわけです。

老ける人、老けない人を決定づける「2つの男性ホルモン」とは

よく、筋骨隆々で、闘争心にあふれ、エネルギッシュな男性のことを「あいつは生まれつき男性ホルモンが多い」などと言ったりします。そもそも、男性ホルモンとはどんな力を持っているものなのでしょうか。

男性ホルモンは、人のからだの中にある約80のホルモンのぅち、性の違いに大きくかかわっている「性ホルモン」と呼ばれるものです。性ホルモンには男性ホルモンと女性ホルモンがありますが、男性も女性も、両方のホルモンを持っています。

問題はそのパランス。人は、男性ホルモンが多ければ男性らしく、女性ホルモンが多ければ女性らしくなっていきます。

男と女は、生まれたときから生殖器のかたちは違うものの、子どもの頃は、まだ、それほど大きな違いはありません。それが、10歳を超え、男性ホルモンがどんどん増えていくと、睾丸とペニスが大きくなり、筋肉質なからだつきになって、ヒゲが生え、声変わりが起きる。これぞ、男性ホルモンのなせる技です。

男性ホルモンには、いくつか種類があるのですが、一番有名なのが「テストステロン」でしょう。男性ホルモンの実に約9割を占めています。

このテストステロンこそ、男を心身共に男らしく保ち、男の健康を守ってくれる秘薬のようなものです。男性のテストステロンの分泌量は20歳前後にピークを迎え、その後は、年齢とともにゆるやかに減り続けます。テストステロンがパンパン出ている間は、男性は筋肉質で男らしいからだを保っていられるのですが、量が減ってくると、筋肉が落ち、脂肪がつきやすくなって、性欲や仕事のやる気も落ちていきます。

つまり、30代の頃は筋肉も多く引き締まった体型で仕事もできたのに、40代になったら急にメタボ体型になってハツラツさが消えてしまったような人は、テストステロンの量が普通の人よりも早いスピードで、がつくりと減ってしまったことが原因と考えられるわけです。

では、老けないからだと心を維持するためにはテストステロンのことだけを考えていれば大丈夫かというと、そうではありません。若さを保つためにもうひとつ重要な男性ホルモンが「デヒドロエピアンドロステロン」、略してDHEAです。

DHEAは別名”若返りのホルモン”とも”長寿ホルモン”とも呼ばれるもので、体内のほとんどすべての器官の働きをアップする、驚くべき力を持ったホルモンです。男性でも女性でも、心もからだも疲れている人を検査してみると、DHEAが大幅に低下していることがよくあります。

また、DHEAはテストステロンの素になっているホルモンなので、これが減ると、テストステロンも減ってしまうのです。

DHEAも、テストステロン同様、男性は25歳くらいのときがピークで、その後は何も気をつけていなければ、年々確実に減っていってしまいます。

ですから、見た目もからだもいつまでも若々しくあるためには、テストステロンとDHEAという2つの男性ホルモンの量をいかに高く保つかが、大きなポイントになってくるのです。

見た目もからだも、男の人生は、男性ホルモンが左右する

男たるもの、いくつになっても若々しく、強く元気でありたいと願うものです。

しかし実際のところ、医学的に見て、男の見た目やからだがもっとも輝いているのは、20代です。思い出してみてください。20代の頃は、今よりも髪はフサフサしていて、肌にハリがありシミも少なく、からだにはそれなりに筋肉がついていて弓き締まっていませんでしたか?忙しくても馬力が出たし、気持ちの面でも前向きで、性欲もあったはずです。

しかし、40代に差しかかる頃から、多くの男性が、見た目の変化や気力体力に衰えを感じはじめます。健康診断を受ければ、高血圧や脂質異常症を指摘されたり、糖尿病や肝臓病の予備軍だと判明することもあるでしょう。性欲も減退気味で、「そういえば最近、どうも下半身の元気がないな……」と、気になる人も出てきます。

「年のせいだから仕方ないか」と諦めてしまう前に、ちょっと考えてみてください。同窓会に行ったとき、あなたと同じ年齢とは思えないほど若々しく、気力に満ちた人もいたのではないでしょうか。そういう人は、得てして仕事もうまくいっていて、社会的にも成功しているものです。そんなふうに、いつまでも若々しく元気な人と、年の割に老け込んでしまった人の違いは、どこから生まれてくるのでしょうか。

その大きな原因のひとつが、男性ホルモンの量です。

簡単に言ってしまえば、いつまでも若々しく元気な男性は男性ホルモンの量が多く、反対に心身ともに老け込んでしまった男性は男性ホルモンの量が少ないのです。

ホルモンとは、人間を25メートルプールにたとえると、たった1滴入れただけでその人を変えてしまうほど、非常に強力で繊細な働きをする生理活性物質です。ピコグラムといって、1ミリリットルのなんと1兆分の1の量が加わるだけで、人間の見かけ、からだ、性格にまで影響を及ぼすといわれています。この男性ホルモンの量が、あなたの人生を大きく左右しているといっても、決して過言ではないのです。